機(はた)の名称      

  『口伝集』の織り方図を理解するにあたり予備知識として機織(はたおり)機の各部名称
  を知る必要があります。下図に各部の名称とその役割を簡単に説明してありますので、
  これらを参考にして次の「織り方図の見方」をご覧下さい。(写真は和田ふるさと館に展示してある実物です。)


筬(おさ)
筬の櫛の目状の隙間に経糸が通され
織り幅が決まり、この筬を手前に引く
ことで左右に通した緯糸を経糸に
しっかり織り込ませる。      

 

イラスト: 『甦る口伝集』より


綜絖(そうこう)
筬と同様経糸を通す道具であり杼を
通すために経糸を上下に開く役割を
する。織る文様により枚数が異なる。


踏み木(ふみき)
これを踏むと紐で結ばれている綜絖
だけが下に下がり、経糸が上下に
分かれ、その隙間に杼(緯糸)を通す。

 
杼(ひ)
経糸が上下に分かれることで生じた
隙間にこの杼を通し緯糸を織り込む。

口伝集の織り方図の見方 

実際の『口伝集』には左下のような織り方図が描かれており、これに基づき忠実に再現した物が
右下の写真にある実物布です。ここでは、この織り方図を例として説明します。
詳細は『甦る口伝集』『続 甦る口伝集』にも記載されておりますので、そちらも参考にしながらご覧下さい。


『甦る口伝集』原本番号 第十九号 より

左の織り方図で復元した実物布
『甦る口伝集実物布集帖』
織り見本より2倍に拡大


・ 織り方図の横線は綜絖を、縦線は踏み木を、それぞれ
  上から見たイメージ図として表現されています。
・ @〜Cは綜絖を表し、見やすいよう色分けしました。
・ a〜dは経糸であり、それぞれ綜絖と繋がっています。
 【踏み木の結び方】
綜絖は必ずどれかの踏み木と繋がっており、
踏み木を踏むことで綜絖が上下する。踏み木
の番号を左から1〜4とすると、綜絖とは各々
1−AC、2−@B、3−AB、4−@C
このように結び付けられている。
【綜絖の通し方】
経糸aは綜絖@と、経糸bは綜絖A
同様に経糸cは綜絖Bと、経糸dは
綜絖Cとそれぞれ繋がっている。




拡大写真(5倍)

 【踏み木のふみ順】
A〜Dの順番で×印と交わって
いる踏み木を踏む。この踏む
順番A〜Dを繰り返すことで
綾織りの文様が出来上がる。

実際の『口伝集』にある図と
  表現が違うが、これは

      

 このように踏み木の踏む順番
 を線で結んだ表現である。
 実際の『口伝集』では、この線
 で書かれた図の方が多い。

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